男爵ひろし様の作品

夫婦縄(めおとなわ)

 

 ある晴れた日曜日の昼下がりでの出来事です。自宅の庭先で束沙染めの和服を着て景色を見ている妻に、夫が後ろから声を掛けました。
「束沙、そこに居たのかぁ・・・」
「あら?あなた、どうかしたの?・・・」
「うん?・・・いや、ちょっとな・・・」
何かを隠している仕草の夫に妻は語り掛けました。
「あなた、背中に何か隠しているでしょう。何なの?」
「あぁ・・・実は・・・これなんだけれどなぁ・・・」
恥ずかしそうに夫は妻の前に赤い縄を取り出して見せました。
「あら、あなた。・・・珍しいわね、縄なんか持ち出して・・・」
「お前が以前から俺に縛られたいと言っていたろう。だから・・・」
「まぁ〜あなた、縛ってくれるの?・・・嬉しいわぁ〜」
夫婦共に愛し合ってはいるものの、夫は中々妻の縛りの趣味に応じて くれませんでした。それ故に妻は夫の言葉に感激しています。
「さぁ、束沙。そこに座りなさい・・・」
「はい・・・あなた・・・」
「じゃぁ、上半身だけ脱がすからね。・・・」
「あん!・・・いや〜ん!・・・恥ずかしいじゃない・・・あっ」
愛しい夫の手によって上半身を露わにされた妻は恥じらいます。
「束沙、両手を後ろに廻してくれなかい?」
「はい・・・これでいい?・・・あなた・・・」
「それでいいよ。・・・じゃぁ、縛るからな・・・」
「はい・・・・・・・」
妻は首をうな垂れて夫の縄掛けを待っています。そして夫は徐々に妻に縄を掛けて行きます。手首に縄を掛けてから左右の上下より妻のふくよかな乳房に縄を掛けて行きました。背中の中心から縄を二手に分けて両肩から、乳房の中央に廻し乳房の上下の縄に括り付けます。その反動で妻の手首が背中の中央まで引き上げられる形になりました。
「どうだい束沙?どこか痛くはないかい?」
「大丈夫よ、あなた。とってもいい感じだわ〜」
「これは高手小手縛りと言う縛り方なんだ。気に入ってもらえたかな?」
「いいわぁ〜・・・あなた・・・こうされる日を待ち望んでいたのよ」
「あはは、実はこの日の為に密かに練習をしていたんだよ」
「まぁ〜そうだったの。うっふふ・・・意地悪ねぇ〜あ・な・た」
「これからはお前をどんどん縛って上げるからな。覚悟しなよ、束沙」
「はい・・・旦那様・・・あはっ!」 「あはは・・・・・」
夫はそんな妻の後ろに腰掛けて酒を嗜み始めました。
「う〜ん!絵になるなぁ〜・・・束沙、綺麗だよ・・・」
「もう〜あなたったらぁ〜・・・そんなに見詰めないで、恥ずかしいじゃない」
愛しい夫に縄化粧を施された妻は、淡く頬を染めながら静かに振り向くのでした。

「夫婦縄(めおとなわ) 愛縛の章 完縛」


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