男爵ひろし様の小説

喪失と目覚め

 ここは螺旋商事株式会社の社長室。長引く日本経済の不況の中、 螺旋商事の業績はそれに反して急成長を遂げていた。経済不況の煽りを受けて民間企業の労働時間の短縮と、大幅な人員解雇により 世の亭主族や共働き世帯の家庭内での時間が増した。収入の減少によって各家庭経済は切迫状態に陥るが、人間の三大欲の一つである 性欲は他の欲を上回る結果となった。その為、飽くなき欲望の探求者と化した人々のニーズに応える為、螺旋商事は日夜快楽商品の販売 と開発に時を費やしていたのである。
「社長、先月の売上実績報告書です。どうぞご覧下さい」
「うむ。・・・・・よし!この調子で来月の目標額を達成しろ」
「はい」
「あっ、裕香君。新商品の開発状況はどうだ?」
「はい、予定通りに来月の中旬頃に完成致します。社長」
「そうか、後で商品開発部に行くと責任者に伝えておいてくれ」
「はい。では、私はこれで」
「裕香君・・・・・」
「はい?何でしょうか。社長」
「いや、何でもない。・・・下がっていいぞ」
「はい・・・・・」
社長秘書の名和田 裕香は会釈をして社長室を出て行く。螺旋商事の社長こと螺旋 寛は螺旋財閥の息女の螺旋 束沙の婿養子である。バブル経済全盛期に経営していたアダルトショップが、店舗拡大を行う為に那羽銀行から多額の融資を受ける。だが、過労とも言える企業の労働時間の影響で世の男女間の性欲は当時、衰退の一途を増すばかりであった。その為、寛の経営する各店舗は赤字を余儀無くされ多額の負債を背負う事となった。折りしも当時、日本全国の性産業をその手中に掌握し様と野心を擁く螺旋財閥は、その莫大な財力で負債額を肩代りする条件と引き換えに螺旋財閥の傘下に加わる事を要求したのである。

螺旋財閥に吸収合併された寛の各店舗はその豊富な財源と、傾き始めた日本経済の後押しによって忽ち業績が拡大して行く事となった。また、その2年後業績拡大の功労者として寛は当時の社長に見初められ、息女の束沙と出会う事となる。三十路を迎えた束沙ではあったが、類稀なる才色兼備の彼女に寛は忽ち心を奪われたのであった。半年の交際期間を経て寛は束沙の下へ婿養子となり、社長職を引退した当時の会長に成り代り螺旋商事の社長に就任したのである。更にその1年後、老齢の為に他界した会長の後継者として束沙が新たな会長に就任したのであった。そして5年の歳月が経過していた。
「あぁああ〜ん!あ、あなた・・・そ、そこよ〜!・・・あん」
「こ、こうか?・・・・・・・・」
「あ〜ん!・・・は、早く・・・入れて〜・・・あっは〜ん!」
「う、うん・・・じゃあ、入れるよ。束沙」
「は!早く〜ん!・・・・・・・」
屋敷の寝室で束沙を愛撫し続ける寛は、四つん這いになって腰を突き出している束沙の熟れた秘部目掛けて、その限界まで張り詰めた物を徐々に近付けて行く。
「あん!もっと!もっと!奥まで〜!・・・・・あっあぁあああああああ!」
「はぁ、はぁ、はぁ、・・・・・・・・・・・うっ!・・・・」
「え!?・・・ちょっ、ちょっと!・・・もう〜?」
寛は3分もしない内に朽ち果ててしまった。
「もう〜!またなの〜!私の火照った身体をどうしてくれるのよ〜!」
「ご、ゴメン・・・・・・・・・」
「ふん!もう!知らない!」
「お、おい・・・・・・・」
束沙は最近めっきり弱くなった寛に背を向けて寝てしまう。寛には妻に掛ける言葉が見付からない。チリ紙で己の後始末をしながら寛も寝た。 翌朝、出社前の寛に束沙は不機嫌そうな顔で語り掛けたのである。
「あなた、お仕事が順調なのは良いですけど、妻一人満足させられないなんてそれでも性産業の社長なの!?元々誰のお蔭でここまで来れたとお思い?」
「何、何だよ〜・・・また、その話しかぁ〜・・・いい加減聞き飽きたぞ!」
「ふん!だったらお仕事と同様に私に対してのお仕事をしっかりとして頂き たいわ!会長の私の一声で何時でもあなたを社長の座から下ろせるのですからね!」
「お、おい!今度は脅迫かよ!・・・もういい!行って来る!」
「あっ!ちょっ、ちょっと!・・・待ちなさい!・・・・・・」
妻の束沙の制止を振り切り寛はリムジンに乗り込んだ。

螺旋商事に出社した寛は商品開発部に赴く。そこは螺旋商事の中枢と言っても過言ではない。寛を出迎える主任の縄手 縛太郎である。
「社長、どうぞ」
「うむ。縄手主任、例の新商品はその後どうかね?」
「はい、順調に開発は進んで居ります。後、一週間で完成予定です」
「そうか、期待しているぞ。縄手主任」
「はい!」
そこへ社長秘書の名和田 裕香が現れた。
「あ、社長!こちらにお出ででしたか」 「裕香君、どうしたのかね?」
「はい、社長室に会長からお電話が入って居りますが」
「会長から?・・・裕香君、私は不在だと伝えておいてくれ」
「よ、宜しいのですか?会長からのお電話ですが・・・・・」
「構わん!いいからそう伝えるんだ!」
「は、はい!では・・・・・・・・・」
裕香が社長室に戻り会長に社長は現在不在と伝えた。暫くして寛は社長室に戻り裕香に語り掛けた。
「裕香君、束沙、いや、会長に伝言してくれたかね?」
「はい、ですが会長は大変ご立腹でしたわ。社長」
「あはは、ご立腹か。済まないな、裕香君」
「いえ、でも、どうかなされたんですか?社長」
「何でもない。それより裕香君、今夜は私と二人で夕食でもどうかね?」
「え?・・・ご自宅にお戻りにならないのですか?」
「まぁな。・・・駄目かね?」
「い、いえ。・・・私で宜しければ・・・・・・・」
「良かった。では、今夜8時にリムジンで待っているよ。裕香君」
「はい・・・・・・・・・・」
裕香は螺旋商事に入社して4年になる。今年、26歳になった彼女は40代始めに社長に就任した寛に密かに恋心を擁いていたのである。商業学校の秘書課を主席で卒業した彼女の才能と若さに、寛も次第に惹かれていたのであった。束沙との夫婦関係が冷め始めたこの時期、寛はある決断をし様と模索していた。

夜8時、社屋の表玄関でリムジンの中で裕香を待つ寛。時は20分を過ぎようとしていた。
「す、済みません!遅くなりまして・・・・・」
「いや、構わんよ。おや?新しいスーツだね。裕香君」
「あ、はい!夕方に買い求めた物ですわ。何時もの服ですと失礼かと・・・・」
「あはは、そんなに気を配らなくてもいいのに」
「まぁ〜!社長〜!乙女心がお分かりになっていらっしゃらない様ですわねぇ」
「あっ!これはとんだ失礼を・・・・さっ、マドモアゼル。お車にどうぞ」
「はい、喜んで。・・・うふふ」
寛は一旦リムジンを降りて後部ドアを開け、裕香の手を取りエスコートをした。車中で他愛もない会話をしている内に、リムジンは銀座の高級ナイトラウンジに辿り着いた。
「さぁ、どうぞ。マドモアゼル裕香」
「有難う、ナイトさん。うふ」
再び紳士と淑女を演じる寛と裕香。フォーマルで正装した店員にリザーブシートまで案内をされそれぞれの席に腰掛ける。
「螺旋様、こちらが当店での最高級のナポレオンで御座います」
フォーマルにブラックタイで正装したオーナーが二人の前にナポレオンを差し出す。
「うむ。裕香君、これで構わないかね?」
「はい。社長」
「では、君。それを・・・」
「畏まりました。それでは・・・・・」
オーナーがナポレオンの栓を抜きグラスに注ぎ込んで行く。暫くして料理が届けられて食事を楽しむ寛と裕香である。
「でも、社長。本当に宜しいんですか?会長に怒られませんか?」
「怒るだろうなぁ。まっ!今更そんな事を心配してもしょうがないさ!」
「あら?随分とはっきりとおっしゃいますわね。覚悟でも御ありですか?」
「覚悟ねぇ・・・・ある意味そうかも知れないな。あははは」
一瞬、硬い表情を見せた寛はどこか元気無く笑った。
「ところで裕香君、ものは相談なんだが・・・・・・・」
「はい?」
「実は私は社長職を離れようと思うのだが・・・・・・」
「え!?・・・ど、どうしてですか?」
「螺旋商事もこのご時世で当面は安泰だろう。有能な社員達も大勢いる。元々私は倒産仕掛けた経営者だった。それを救ってくれた螺旋財閥にも充分に尽くした積もりだ。そこで私は新たな新会社を設立し様と決意したんだ。螺旋財閥から独立した新会社をね」
「そ、そんなぁ〜!社長が会社をお辞めになるなんて・・・・私・・・・」
「そこで裕香君、君にも新会社の運営を手伝って欲しいのだが・・・・・」
「え!・・・私がですか?・・・・・・・・」
「そうだ、君の才能を手放す積もりはない。私に協力してくれないかね?」
「きゅ、急にその様な事を言われましても・・・・・・・・・・・・・・」
「裕香君、社長秘書拳新会社の専務の地位で君を新たに採用したい!この通りだ!」
「社、社長!・・・こ、困ります!こんな場所で・・・・・・・・・・・」
寛は急に席を立ちその場で裕香を前にして土下座をしたのである。周囲の他の客達は何事かと騒ぎ始めた。
「裕香君!君が“うん”と言うまで私は何時までもこうしている覚悟だ!」
大企業の社長自ら一社員に土下座をするなどと、自尊心をかなぐり捨てて必死に食い入る寛の眼差しに裕香の心は激しく動揺した。
「社、社長!と、とにかくここを出ましょう!」
「あっ!裕香君!何、何をするのかね?」
「いいから!早く!・・・・・・・・・」
寛の手を握り締めて裕香はナイトラウンジをそそくさと出て行く。

リムジンに乗り銀座通りをひたすら走る。そして赤坂方面に向かいリムジンは止まる。
「君、もう、帰っていいぞ。ご苦労だった」
「はい、では・・・・・・・」
運転手に帰る様に指示を出した寛は、裕香と共にホテル街に足を運ぶ。
「裕香君、君の返事を聞くまでは帰さないぞ。いいね」
「・・・・はい・・・・」
ホテルの部屋でシャワーを浴びた二人は、そのままベッド倒れ込む。
「社長・・・さっきのお話しですけど・・・」
「受けてくれるかい?裕香君」
「いえ、ですが私にもっと良い考えがありますわ・・・・・」
「何?・・・考え?・・・それは?・・・」
「うふふ・・・それは愛して頂いた後でのお楽しみよ」
「あはは・・・後でのお楽しみかぁ〜・・・よし!分かった」
寛の下で微笑む裕香。そして二人は愛し始める。
「あっはぁ〜ん!・・・あん・・・あぁあああああああああああああ!」
「おぉおおおお!・・・裕、裕香君・・・あぁあああ!」
「寛、寛さ〜〜〜ん!・・・もっと・・・もっと〜〜〜〜!!」
「はぁ、はぁ、はぁ、・・・・・・・裕、裕香ぁあああああああああ!」
「そ、そうよ!もっと!もっと!激しく!私を愛してぇええええええ!」
「はぁあ、はぁあ、はぁあ・・・・・・・・・・・」
「来てぇ!来てぇ!・・・いく!いっ!いくっくぅうううううううううううううう!」
「はぁああ!はぁああ!はぁああ!・・・あぁあああああ!・・・・・・うっ!・・・・」
今、二人の意識は無限の彼方の桃源郷へと旅立った。枕元の葉巻を咥える寛に裕香がミロのビーナスを模ったライターで火を点けた。
「裕香君、不思議なものだね。まだ、私にこれだけの力が残っていたとは・・・・・」
「寛さんだってまだまだ若いわよ。それとも唯、若い娘が好きなだけかしら?・・・うっふ」
「意地悪だなぁ〜・・・裕香君も以外に・・・あははははは」
「あら?私が天使か妖精かとでも思ってたの?」
「違うのかい?それともオバタリアンだったとでも言うのかい?」
「まぁあ!言ったわね!・・・・えいっ!」
「いっ!いてってててて!・・・・こ、こら!どこを掴んでるんだよ!」
「あらまぁあ?・・・・・また、こんなになってぇ〜!もう〜!寛のス・ケ・ベ・・・・・」
「言ったなぁ〜!・・・・よし!リターンマッチだ!覚悟しろ!裕香!」
「きゃぁああああああ!・・・・・・・・・・」
再び激しく愛し合う寛と裕香。ライトに照らされた二つのシルエットが揺れる。
「さぁ〜裕香、もういいだろう。そろそろ君の考えとやらを聞かせてくれないか?」
「やっぱり聞きたい?」
「ああ・・・・・・・」
「それはねぇ〜・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「え!?・・・・・・そ、そんな事を?・・・・・・・・・・・」
「うっふふふ・・・・もう、後戻りは出来ないわよ。・・・・寛さん」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

朝を迎え寛と裕香は会社に向かう。二人は商品開発部にいた。
「どうされましたか?社長。朝、早くから」
「縄手主任、例の商品の試作品は既に出来ているのだろう?」
「はぁ〜・・・それならありますが?」
「では、それを貸して欲しいのだが?」
「分かりました。・・・・・・・こちらです。どうぞ」
「うむ、確かに・・・・・」
寛は縄手 縛太郎から新商品の試作品を受け取った。
「社長、それではこれから・・・・・・・」
「うん、裕香君・・・・・・・」
寛と裕香はリムジンで寛の住む屋敷に向かったのである。
「あら?あなた!昨夜はどこにいらしたんですか!?」
玄関で寛を激しく睨む束沙である。同時に彼女の瞳は裕香の方にも向けられた。
「あなた、確か社長秘書の裕香さんでしたわね。何故、あなたがここに?」
「お久し振りです、会長。本日はお話し致したい事が御座いましてお伺い致しました」
「あら?何かしら?今日はあなたとのアポがあったかしら?」
「束沙、私が裕香君をここへ連れて来たんだ」
「そうですの?・・・・まぁ、お上がりなさい。裕香さん」
「はい、では、失礼致します。会長」
屋敷の応接間に行く寛、裕香、束沙である。高級革製のソファーに腰掛けて会話が始まる。
「それで何のお話しかしら?裕香さん」
「はい、実は今度我社で販売致します新商品の件で・・・・・・」
「まぁ〜・・・どんな商品なの?」
「はい、ここに完成致しました試作品が御座います。・・・ご覧下さい」
裕香が束沙の前で鞄を開けた。その中身を見た束沙は裕香に尋ねる。
「裕香さん、これは何かしら?私には唯の縄にしか見えないけれど・・・」
「束沙、そうだ。これは縄だ」
寛が束沙に応えた。そして裕香が説明を始める。
「会長、これは唯の縄ではありません。医療機器などにも使われているナノマシーンは御存じですよね?」
「ええ、それが?」
「そのナノマシーンにミクロ化したAI、つまり人工集積知能を搭載したナノマシーンがこの赤い縄に組み込まれています」
「まぁ!・・・でも、何で縄にナノマシーンが組み込まれなければならないの?」
「はい、当然のご質問ですわね。この世には沢山の縛りファンがいる事を市場調査で確認した我社は、縛りたいけれど上手く縛れない方々や自縛趣味の方々のニーズに応える為に、この縄にハイテクノロジーを組み込んだのです」
「そう、でも、縛るのは人間でしょう?縄が勝手にと言う訳じゃないのでしょ?」
「いえ、縄自体があらゆる縛りを記憶しています。百聞は一見にしかずですわ。会長」
「え!?」
裕香の応えに耳を疑う束沙である。と、その時。束沙の目の前の赤い縄が彼女目掛けて襲い掛かって来た。
「ちょっ!ちょっと!・・・何!何なのよ〜!この縄は?」
「ですから意識を持った縄なんですよ。会長・・・・・うっふふふふふ」
「あ、あなたぁ!・・・た、助けてぇええええええええええええ!」
束沙は和服の上から次第に縄掛けをされている。寛に救いを求める束沙。だが・・・・
「どうだい束沙、新商品のスパイラル・プレッシャー・ロープの感想は?」
「え!?」
夫の寛の冷ややかな眼差しに驚く束沙である。縄は最後に猿轡の役目も果たしている。
「うんぐ!むむむー!うー!むふー!・・・・・・」
束沙は全身を完全に拘束されてソファーに転がった。
「うっふふふ・・・素敵なお姿になりましたわねぇ〜・・・束沙さん」
「ううう・・・・・・・」
無言で裕香を睨み返す束沙。寛が彼女をその場に立たせた。
「さぁ、束沙。このまま地下室に行くんだ!ほら!」
「うー!むー!・・・・・」
応接間の一角に地下室の出入口がある。寛と裕香は束沙をそこへと連れて行った。

この地下室は別段変わった所はない。僅かな荷物が置いてあるだけである。
「さぁ〜束沙さん。お着物を剥ぎ取りますわ。・・・・うふふ」
「うううー!むむむー!うんぐー!・・・・・・・・・・・・」
「ほら!ジタバタするんじゃない!」
寛と裕香に和服を強引に剥ぎと取られた束沙は、赤い腰巻姿を曝け出した。
「寛さん、束沙を宙吊りにして」
「分かった。裕香」
寛は天井に設置してある荷物を吊り上げる為の滑車に束沙を宙吊りにした。
「うふふ・・・・束沙、お前はこれからここで生涯を送るのよ!」
「?・・・・・」
「お前は今日、行方不明になったのよ。寛さんが進会長で私が社長に就任した訳」
「ううー!むむむー!うー!うぐー!・・・・・・」
「お前はこれから私達の奴隷になったのよ!オー!ほほほほほほほほほ!」
「束沙、私はこれから裕香と暮らす事にした。もう、お前はおもちゃでしかない」
「うううう・・・・・・・・・・」
寛の裏切りと若い娘に陵辱されると気付いた束沙は途方に暮れた。
「寛さん、おもちゃに意思はないからね。そのベルトで叩いて」
「あぁああ・・・・そ〜れ!・・・ビッシッ!バッシッ!・・・・・・・」
「うひー!うぐー!むぐー!うっううう・・・・・・」
寛は腰のベルトを鞭代わりにして束沙を容赦なく叩きのめしていた。
「オー!ほほほほほほほほほ!オー!ほほほほほほほほほほ!・・・・・」
ベルトが束沙の身体で唸る度に彼女はまるで魚の様に身体をくねらす。 3時間以上も宙吊りにされたままで痛め付けられた束沙は失神してしまう。
「寛さん、今日はこの辺でいいわ。楽しみは明日またね」
「そうだな、これは案外面白いなぁ〜裕香」
「でしょう〜・・・・うっふふふふ」
この日から束沙は世間から消失して暗い地下室で愛奴と化して行く。 あれから一ヶ月は経過しただろうか?始めは必死に抵抗をしていた束沙は今ではもう、その赤い縄の虜に成り果てていた。上半身は裸で下半身だけ 下着姿の彼女は自ら進んで縄に背を向けて、その甘美なる戒めを求めて瞼を閉じ恍惚としている。ある時は飼い犬の様に首輪をされながら、冷たい 床を這い回り。また、ある時は後手に縛られたままで餌を食べ、寛と裕香が持って来たハイパーローターに酔い痴れる。
「うふ〜ん・・・・あっ・・・・あぁああああああああああああああ!」
「あらあら、熟れた粘液がこんなにも!・・・・・淫乱ねぇ〜」
裕香は人差し指で束沙の秘部を押し続ける。そして親指と人差し指を何度も 付けては離して、束沙本人にその糸状粘液を見せ付けた。
「ねぇ〜寛。ここでセックスしない?」
「いいねぇ〜!俺、もう〜ビンビンだぜ!裕香」
「すっご〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜い!」
寛と裕香は愛奴の束沙の前でセックスを始めた。嘗ては自分の夫が今では 若い娘に奪われて行く様を、束沙は濡れながら見詰めていた。寛と裕香に様々な恥辱を味わい束沙は、マダムの地位を喪失した代わりに奴隷としての 悦楽の境地に目覚めたのであった。縛られたままで一人地下室に放置された束沙は部屋の隅に置いてあるバケツに今夜も垂れ流す。
「明日はどんなお仕置きをして下さるのかしら?寛様と裕香様に・・・・」

「喪失と目覚め 淫縛の章 完縛」


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