【エターナル・スノー プリンセス・ツカサ】

 ここは紳士と淑女が集う夜の野外社交場です。楽しい会食も終わり社交ダンスの 時間が訪れました。司会者が会場の来賓の方々に語り掛けます。
「さて、ご来賓の皆様。いよいよダンス大会のお時間が参りました。今宵は 当、貝殻王国の晩餐会にご参加頂き心より御礼申し上げます」
司会者の御礼の挨拶が終わると同時に、会場のライトが消えました。そして 一筋のスポット・ライトが射して・・・・・
「皆様、ご紹介致します。貝殻王国の王女様、プリンセス・ツカサ様です」
「おぉぉぉぉ!なんとお美しい!」
どよめく一同。そして時を同じくして会場に初雪が舞う。ライトに照らされた 雪はまるで宝石の様に煌き、美しいプリンセスを一層際立てました。
「さぁ、これからプリンセス・ツカサ様がダンスのお相手を求めて、皆様の お近くにお伺い致します。果たして何方に栄誉が与えられるのでしょうか?」
プリンセスが会場の紳士達の傍までゆっくりと歩いています。そして一人の 紳士の前で立ち止まりました。
「貴方のお名前は何と申されますか?」
「はい、プリンセス。バロン男爵と申します」
「では、バロン男爵。私とダンスを踊って下さいますか?」
「はい、喜んでお相手させて頂きます。プリンセス」
バロン男爵は片膝を付いてプリンセスの右手の甲に接吻をしました。それを 見ていた司会者が、楽団に演奏する様合図を出しています。
「こちらこそ、宜しくお願い致しますわ。バロン男爵」
演奏が始まりダンスを楽しむ二人。
「バロン男爵、奥様はいらっしゃるのですか?」
「いえ、まだ、独り見です。プリンセス」
「まぁ、では、今度のクリスマス・イブに私とお付き合いして下さる?」
「私如きで宜しければ・・・・・・・・」
「嬉しい・・・・・・・・」
「プリンセス、雪がお肩に掛かりますよ。もっと傍へお出で下さいませ」
「はい・・・・・・・・・」
「♪♪〜♪♪♪〜♪〜♪♪〜・・・・・・・・・」
楽団が奏でる“エターナル・スノー”の調べを聞きながら、二人は何時までも 踊り続けていました。降る雪がまるで二人の出会いを祝福する様に・・・・